言葉と鉛筆で描く日常風景 201609

日常の風景~死に関する夢(第2夜)

数ヶ月前、死に関する夢を2夜連続で見た。
印象的な夢だったので記載しておこう。

暗くカビ臭い部屋。
一寸見たところ、そこは屋根裏部屋のようだった。
閉ざされた鎧戸の隙間から差し込んでくるわずかな光で、厚い埃を被った様々な物体がそこここにうずくまっているのが識別できた。

いや、ここは屋根裏部屋ではない。
かつては、明るい蛍光灯のもとで子供たちが父親や祖父母に抱かれながらTVを眺め、夕食の後片付けを終えた母親が持って来た冷たいスイカに歓声を上げた、そういう家族団らんの部屋だった。

だが、今はもう誰もいない。

僕は、そんな薄暗い部屋の中で、古い干からびた革製の旅行バッグを抱え、床に散らばった小物を注意深く拾っている。

ゆっくりと、とてもゆっくりと。

「何してるの、早く行きなさい」、どこかで若い頃の母の声が聞こえる。
母は、僕が出掛けたくなくて、わざとぐずぐずしているのを知っていた。

人間、早く死にたいと思ってはいても、いざ死ぬとなれば躊躇するものだ、そう言ったのはスティーブン・キングだったろうか(The Green Mile)。

判っている、いつまでもこんなことはしていられないのだ。

行かなきゃ。
ここは、もう僕の属すべき場所ではない。

日常の風景~死に関する夢(第1夜)

数ヶ月前、死に関する夢を2夜連続で見た。
印象的な夢だったので記載しておこう。

夢が始まった時、僕は明るい住宅街にいた。
明るいと言っても、光が眩しいという類の明るさではない。
どちらかというと、水彩画のような淡い色彩が光景を明るくしている感じだ。

道行く人々は、皆楽しげに通り過ぎていく。
通勤通学や買い物といった義務的な雰囲気はなく、休日に思い思いの目的地へ出掛けている、というような光景だ。

「なんだ、こんなところなら、あんなに悩む必要は無かったな」、僕は独りごちた。

と言っても、僕には自身の死に関する記憶はないに等しかった。
前の世界のことは、灰褐色をした厚い煙の渦の向こうにあり、窺い知ることができない。
ただ、記憶の奥底に自分が躊躇している様—と言うより、それは匂いのようなものだ—がかすかに残っている。

僕は、迷いもせずに街外れにある森の方向へ歩き出した。
そこが自分の帰るべき場所だ、と僕は知っていた。

そう、僕は異邦人ではない。
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