言葉と鉛筆で描く日常風景 東南アジア素描~豊かさと価値観2
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東南アジア素描~豊かさと価値観2

 この国は貧富の差が激しいとよく言われる。だが、僕はこの言葉にどこか違和感を感じた。それで、何を以ってそれを判断しているのか調べてみると、どうも電気代の多寡や車の登録であるらしい。

 温暖なこの国では、それほど電気製品は必要ない。車も僻地ならともかく、集落で暮らす限りでは必要というほどの物でもない。つまり、必需品ではないので、それらがなくとも貧しいという実感はない。

 他方、この国ではどこででも子供の声を聞くことができる。無論、トタンで作った集落でも子供たちが元気に遊ぶ。所得が低くても、衣食住にそれほどお金を要しないので、子供を養っていけるのだ。

 上と比較して、というわけではないが、僕は日本について幾つか象徴的な体験をしたことがある。
 ひとつは、こちらの友人が日本でフライドチキンをオーダーした時のことだ。真剣な面持ちで目の前に出されたチキンを凝視していたので、僕もそれに目を向けた。なるほど、それはほとんど肉のついていない黒焦げのチキンだった。彼の国でそんなものを出したら、まず店は1週間と保たないだろう。
 もうひとつ、同じ知人が僕の郷里を訪れたときのこと、あまりに閑散とした街並みに、「ハリウッドのパンデミック映画みたいだ」と絶句していた。少子高齢化とは聞いていたが、これほどだとは思わなかったらしい。

 四季のある先進諸国では、貧しさが不幸に直結する。だが、その価値観を豊かな東南アジアに持ってきても適合しない。この地域では、貧しいなりの幸せがあるからだ。

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豊かさ

今年タオ島へ行ったとき
日本でいえば高校生ぐらいの少年ポターさんに
ダイビングの重い機材類の入ったキャリーバッグを
階段のの幾重にも重なった私の部屋まで運んでもらった時に
20バーツのチップを渡しました。
両手を合わせて「ありがとう」とほほ笑んだ顔は
忘れることができません。
豊かさって何なんでしょう!

Re: 豊かさ

ヴェルソさん

いつも考えさせられるコメントを有難うございます。

この国に渡って来たとき、自分がいかに多くの、そして不必要な事物を抱えていたのかということに気付きました。

渡航前、僕は自宅と9割以上の荷物を処分しましたが、それで不便を感じたことはありません。結局、自分に必要なものは、絵を描く鉛筆とコンピューター、それに少しの本だけだったわけです。

本当の豊かさとは、以前にヴェルソさんが言っていた通勤途中にニケ神像を観ることだったり、こうやって会ったこともない方とお話したりできること、そして愛する家族が傍にいてくれることではないかな、とよく思います。
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