言葉と鉛筆で描く日常風景 東南アジア素描~ワンダフル・ワールドなラーメン屋さん
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東南アジア素描~ワンダフル・ワールドなラーメン屋さん


僕はほぼ毎日、夕食を近所のラーメン屋さんですませる。
むろん、一杯300バーツもするような日本のラーメンでなく、35バーツの庶民的なタイ・ラーメンだ。もう少し正確にいうと、バーミーという黄色い鶏卵麺に餃子と豚肉の切り身と青菜が入っている、バーミー・キアオという一品だ。
脂が少なく、かつ効率よく炭水化物・たんぱく質・ビタミンが採れるので、健康にすこぶるよい。

さて、僕がこの屋台を気に入っている理由は、上記の他に2つある。
ひとつは、そこに常駐する猫だ。つぶらな瞳と上品な毛並みをした深窓のペットとは程遠い、どちらかというと浮世の辛酸を舐めてきた苦労人というタイプだ。顎を撫でると、白い毛がホコリとアカでごわごわしていて、指先が灰色になる。きっと、叩けばホコリが多いに出るだろうし、洗濯好きな僕としては、一度石けんでゴシゴシと洗ってさっと天日に干したいところだ。

だが、声だけは可愛い。日替わりで様々なお客さんを回っては、前足で相手の足をピトピトと軽く叩き、目を細めながら「ミャン」とささやくように鳴く。
これで何もあげなかったら、人としてその後数日間はどうしようもない自己嫌悪と罪悪感に苛まれるだろう。
というわけで、僕はよくこの猫と豚肉シェアする。食べた量を体重で割ったら、明らかに彼の方が得をしているが、まあセコいことは言うまい。

この屋台のもうひとつのよい点は、おそらく30歳前後の、痩身で目の細いチャイニーズのような顔つきをした主人だろう。
茹でた麺をさっと網で上げたり、野菜や豚肉を盛る動作が実に洗練されていて、きっと絵にしたらよいものになるだろうなと思う。

だが、彼の真なる美点は勘定のときに表出する。まず、彼は僕が財布からどの紙幣を取り出すのか、熱い麺の湯を切りながらもちゃんと確認していて、つり銭の計算を素早く済ませる。それでいて、客が財布からお金を出す場面に決して目を向けない。そういう行為は卑しいと知っているのだ。
そして、つり銭を僕の掌にのせるまさにその一瞬、てきぱきとした彼の腕の動きが超スローモーションになり、コインはまるで羽毛のようにふわりと僕の手の平に舞い降りる。

この国ではごく普通に見る半露天のラーメン屋だが、ここにルイ・アームストロングのワンダフル・ワールドがある。


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屋台のご主人

なんかとってもイイ感じのお店の方ですね。
ちなみにこのご主人って釣銭を渡す時など、笑顔ですか?それともクールに無表情ですか?
(どっちもいいな、と思います)

猫も捨てがたいですが、今度このご主人描いてください!

Patterson's Houseさん、お洗濯好きなんですか~( ・ᴗ・ )

Re: 屋台のご主人

ふゆこさん

いつも温かいコメントを有難うございます。
彼はいつもナチュラルです。
顔で表情をつくるというより、しぐさと雰囲気で「ありがとう」と伝えてきます。

あの猫はどう描いてもじゃりん子チエの世界ですね。
漫画で描いた方が適っている。
ご主人の方はよい絵になると思います。
とくに白黒だとよく似合う。

僕は洗濯とアイロンがけが大好きです。
物事がきちんとなるのが好きです。
きっと、船に乗っていたせいでしょう。

ふゆこさんは洗濯やアイロンがけ、お好きですか?
何となく職人気質な雰囲気を感じるので、もしかして南部鉄製のプロフェッショナルなアイロンなんかお持ちなのかな・・・などと想像したりします。
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