言葉と鉛筆で描く日常風景 出稼ぎの青年が教えてくれたこと

出稼ぎの青年が教えてくれたこと


暑いせいかこの国の人々は、のんびりと歩く。
他方、僕はいつもタイトなスケジュールで動いていて、往年のディエゴ・マラドーナみたいなフットワークで人混みをすり抜けていく。

ある時、人ひとりしか通れない隘路で建設作業員と行き会った。
身長160センチほどの肌の黒い小柄な青年だった。ミャンマーかカンボジア辺りからの出稼ぎ労働者だろう。
彼は、ニコリと笑って道を譲ってくれた。
その時、はっと気付いた。
僕はこの青年に道を譲ろうとしただろうか。

その日から自身の行動を変えてみた。

20代の若者と互いに道を譲り合った時、歩道沿いのビルの前に座っていた中年の男性がワハハと笑って嬉しそうに手を叩いた。

前と横から行き会った3人が互いに道を譲り合った時は、3人とも照れ臭そうに笑った。

そして今日の朝、掌に載るほどのキジバトに似た小型の小鳥が僕の進路を横切ろうとして立ち止まった。
ほんの一瞬だけ互いに視線を交わし、それからその小鳥はテトテトとほんの50センチほど前を歩いて行った。


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